ナスカの地上絵は、南アメリカのペルー南部に位置しています。
具体的には、ナスカ砂漠の一帯、ペルーのリマから約400キロメートル南にあるイカ地方のナスカという町の近くに広がっています。
この地域はペルーの太平洋岸に近く、アンデス山脈の西側に位置しており、その特異な環境が地上絵が保存される要因となっています。
ナスカの地上絵がなぜ長持ちするのか、その理由を詳しく解説します。
主な理由としては、保存に適した自然環境と、人々による丁寧な保護の存在が挙げられます。
これらの地上絵は約2000年前に描かれ、今もその姿を残しており、世界遺産にも認定されています。
テレビなどで見かけるこれらの地上絵が、数千年も経過しても色あせずに残っていることには驚かされます。
この記事では、地上絵がなぜ長持ちするのか、どのような目的で作られたのかなど、その謎を明らかにしていきます。最後までご覧ください。
【ナスカの地上絵】消えない理由を探る
以下に、地上絵が長持ちする理由を5つ紹介します。
徹底した管理
地上絵は発見されて以来、人々によって保護され続けています。
ナスカの地上絵の保護に尽力した人物の一人が、ドイツ出身の数学者マリア・ライヘです。
マリア・ライヘは地上絵に魅了され、その保護のために人生を捧げました。彼女の研究と努力によって地上絵の価値が広く認識されるようになり、それに伴い保護活動が強化されました。
彼女は自己資金を投じて地上絵の清掃や監視を行い、観光客が絵を見やすいように展望台も建設しました。
現在でも、ナスカの地上絵は多くの研究者や政府機関によって守られています。
特にペルー政府や山形大学の研究チームが、地上絵の保存と研究を行っており、観光客の増加による損傷を防ぐためのアクセス制限や、気候変動への対策も施されています。
これらの保護活動が、ナスカの地上絵を将来に渡って保存するために非常に重要です。
ほとんど雨が降らない
極度の乾燥条件 ナスカの地上絵が長く保存されている主な理由の一つは、その地域の極めて乾燥した気候にあります。
ナスカ地方の年間降水量はわずか4ミリメートルと非常に少なく、事実上、雨がほとんど降らないと言えます。
日本で考えると、1時間で4mmの雨が降ることもありますが、ナスカの降水量の少なさがどれほどかがよく分かりますね。
雨が少ないため、地上絵を形成する土や石が水に流されたり、風化したりすることがほとんどありません。
この乾燥した状況が、地上絵が数千年にわたって保存される大きな要因となっています。
ナスカ砂漠は非常に乾燥していて、植物の生育もほとんどありません。そのため、土壌の侵食がほとんど起こらず、地表に刻まれた線が長期間変わらずに残り続けます。
また、この地域では風がそれほど強くないため、砂や小石が飛ばされることが少なく、地上絵が形を崩すこともありません。
このように、ナスカ砂漠の乾燥地帯特有の環境が地上絵の保護に寄与しています。
土の質
ナスカの地上絵は、表面の小石を取り除き、その下の白い石灰質の土を露わにして描かれています。
この白い土は、湿気を吸収すると硬化する性質があり、セメントのように固まります。
この特性により、地上絵は時間が経っても形を保ちやすく、長期間にわたってその姿を維持することができます。
また、地上絵の周辺の小石は、長時間の太陽光にさらされることで酸化し、黒く変色します。
この黒く変色した小石と白い土の鮮やかなコントラストが、地上絵を一層際立たせています。
この太陽光によって強化された構造が、地上絵を守り続けているのです。
砂が積もらない
自然のメカニズム ナスカでは、風が細かい砂を運んできますが、地上絵には砂が積もることがありません。
これは、日中の太陽によって地面が暖められ、地面から高さ約1メートルに温かい空気層が形成されるからです。
この暖かい空気層が砂の堆積を防いでいます。
野生動物の不在
ナスカ地域には野生動物がほとんどいません。
そのため、動物によって絵が荒らされることはありません。
他の地域では、サバンナでヌーやシマウマが大移動する光景を見ることがありますが、ナスカにはそのような状況は存在しないため、地上絵は安全に保たれています。
これら5つの要因が、ナスカの地上絵が消えずに残り続ける理由です。
自然がもたらす保護と適切な管理が、これらの貴重な遺産を守っています。
ナスカ地域にはいません
ナスカ地上絵の作者と描かれ方
約2000年前、古代ナスカ文化の人々が制作したとされるナスカの地上絵。
通常、「絵を描く」と聞けばペンやブラシを使うことを想像しますが、ナスカの地上絵は違います。
これらの絵は地面を掘ることで描かれています。
地面の赤黒い上層を掘り、その下にある白い土を露出させることで絵が形成されます。
この絵の線の幅は約1メートル、深さは10から20センチ程度で、広大な地上絵を作るのには莫大な労力が必要だったでしょう。
なぜ古代ナスカ文化の人々がこんなに手間をかけて地上絵を作ったのか、今でもその理由は不明です。
ナスカ地上絵が作られた理由
地上絵の制作理由には様々な説がありますが、具体的には以下のようなものが考えられています。
- 雨乞いの儀式として
- 方向を示すため
- 水路を管理する手段として
- 美術作品としての鑑賞用
また、興味深い説として、これらの絵が宇宙人へのメッセージである可能性も提唱されています。
もし宇宙人へのメッセージだとすれば、それは非常に驚くべきことですね。
宇宙人との何らかの交流があったのかもしれません。
この点については謎が多く、その神秘性が更に深まります。
ただし、この説には他の説に比べて根拠が少ないため、信じるには確かな証拠が必要でしょう。
地上絵が少しずつ消えていく原因
何千年も前から残るナスカの地上絵ですが、実は現代においても徐々に失われています。
その主な原因は、人間の活動です。
過去には、貨物トラックが地上絵に侵入し一部を破損させた事例があります。
さらに、建設作業で使われるショベルカーが地上絵近くで動かされ、地面の石灰質の土を掘り起こすこともありました。
このような行為により、今でも地上絵には車のタイヤの跡が残っている場所があります。
また、人間の活動による気候変動も影響しています。
通常は雨が少ないこの地域でも、近年の気候変動により突然の豪雨が発生し、土砂崩れや洪水が地上絵を損なうことがあります。
地上絵には、直接的な物理的ダメージだけでなく、間接的な気候変動の影響も見られます。
地上絵を守るのも人間ですが、それを消失させるのもまた人間というのは、非常に複雑な気持ちにさせられます。
まとめ
・ナスカの地上絵は、自然環境に恵まれて保護されています。
・しかし、人間の手による管理は時に損傷の原因ともなっています。
・地上絵は地面を掘ることで制作されています。
・現在も消失のリスクに直面しています。
これらの点を踏まえ、ナスカの地上絵について解説しました。
2000年前の作品が今も残るのは驚くべきことですが、これからも何千年も残り続けることを願っています。
