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アイドルライブ現場における「いつも最前列にいるファン」の実態を徹底解剖

疑問

アイドルのライブに何度か足を運ぶと、最前列にはいつも同じ顔ぶれのファンがいることに気付きませんか?

また、複数のグループが出演する対バンイベントでは、最前列のファンがグループごとに入れ替わっている光景を見たことがあるかもしれません。
これらの状況の多くは、特定のファンが組織的に最前列を管理しているためで、そうした人々を「最前管理」と呼びます。

いつも最前列にいるファンに関する用語の解説

詳しい説明に入る前に、この記事で登場する「いつも最前列にいるファン」に関連する用語を解説します。彼らは特有の用語を使って会話をすることが多いです。

以下に、各用語に関する詳細な例を追加した表をまとめました。

用語使用例詳細な意味詳細な例
壁子壁子やります!ライブ現場で、最前列に突っ込んでくるファンをブロックする役割を担う人。最前列だけでなく、そのすぐ後ろの2列目も管理し、最前列を守る。大きなライブで後方から突進してくるファンを防ぐために、2列目の仲間と協力して壁を作り、最前列のファンが安心して応援できるようにする。
管理枠管理枠どこまで?いつも最前列にいるファンが確保しているステージ前のバミ(目印)の範囲を指す。例えば、ステージ中央から左右にどこまで確保しているかを表現。特定のアイドルが中央でパフォーマンスすることが多いため、そのエリアを確保することで一番見やすい位置をキープする。
削り今日削る?開場時間が早いライブで、早番チケットの所持者が間に合わず抜け番号となる場合、その番号を遅番のチケットで偽造する不正行為。早番のチケットを持っている人が来れない場合、後から来る人がそのチケットを使えるように番号を書き換えて不正に入場する。
初動初動禁止最前列でジャンプする前に行う一連の動作。柵に手をついて床を蹴り、体を弓のようにしならせてジャンプするための準備動作。柵に手をついて体を反らし、足を高く上げてジャンプの準備をするが、この動作が危険なため禁止されることがある。
叩き2枚叩きます!先着順で発売されるチケットを素早く購入する行為。多くの場合、BOTを用いて自動化されたシステムで購入する。人気アイドルのライブのチケットを確保するため、販売開始と同時にBOTを使って瞬時に購入する。
剥がし下1剥がして!意図しない場所にいるファンを移動させる行為。交渉によって行うことが多いが、強制的に移動させる場合もある。最前列の中央に他のファンがいる場合、その人と交渉して後方に移動してもらうか、強制的に押し出して自分たちのスペースを確保する。
バミどこのバミ使いますか?ステージ上の位置を示す目印。フロア側から見た左側が下手、右側が上手で、中央を「ゼロ」と呼ぶ。推しのベストポジションを確保するために重視。ステージの中央に立つことが多いアイドルを見るために、その位置を確保する。バミシールが貼ってある場所を目印にする。
張り上3張っておいて!他のグループが出演している間に場所取りをする行為。特定のグループのファンがいない時に、次の出番に備えて場所を確保する。他のグループのファンがいない間に、次に自分たちの推しが登場するステージ前の場所を確保しておく。
引き子今日引き子いませんか?ランダムに配布される入場整理券を大量に引くために動員される人。通常は他グループのファンや転売ヤーなどが協力する。ランダム整理券が必要なイベントで、多くの整理券を確保するために他のグループのファンや転売業者に協力してもらう。
ポシュ4枠ポシュっておいて!物や体を使って場所を確保する行為。早番チケットが足りない場合に上着や手足を使って仲間の場所を取っておく。上着や鞄を柵にかけて場所を確保し、後から来る仲間のためにスペースを取っておく。
BOTBOT回します!自動制御されたプログラムを用いてチケットを確保するツール。人間の速度を超えてチケットを購入できるため、早番を確保するのに有利。チケット販売開始と同時に、BOTを使って高速で購入し、他のファンよりも早く良い席を確保する。
マサイ全枠マサイアイドルファンが推しのパートで連続ジャンプする行為。マサイ族のジャンプに似ているためこの名前が付けられた。推しのソロパートや盛り上がる曲の時に、ファン全員でジャンプして応援する。
見たがり○○(グループ名)見たがりします!メインのグループとは別に、楽曲やパフォーマンスが良い他のグループのライブを見たい時に使う用語。自分の推し以外にも気になるグループのライブを楽しむため、そのグループのパフォーマンスを見に行く。
揉め子揉め子いりますか?剥がし行為の交渉が決裂した際に、武力行使を行うために動員される人。現在は安全対策が強化され、武力行使は減少している。交渉で解決できない場合、強引に場所を奪うために力を使って他のファンを排除する。
モブあのモブだれ?最前列以外の後方にいるファンを指す言葉。ステージから離れているファンを一般的にこう呼ぶことがある。後方で大人しくライブを見ているファンを指す。
リスバン回しリスバン回しするリストバンドを他人から譲り受けて不正に入場する行為。違法行為であり、警察に逮捕されるケースもある。入場済みの人からリストバンドを受け取り、別の人がそれを使って再度入場する。
枠投げ枠投げの協力お願いします!大量に抽選申込を行う行為。繋がりのある他グループのファンや偽アカウントを利用して早番チケットを確保する。抽選販売のチケットを大量に申し込むために、多くのアカウントや他のファンの協力を得る。

最前列管理とは

最前列管理について詳しく解説します。最前列管理とは、ライブやコンサートなどで常に最前列にいるファンのことを指し、この言葉はその行動を行う個人やグループ全体を表します。

最前列管理を行う理由

最前列管理が最前列にこだわる理由にはいくつかのパターンがあります。代表的な例を紹介します。

優越感を得たい

他のファンに対して優越感を示したいという理由で最前列を確保する場合があります。例えば、以下のようなマウントがあります:

  • 他のファンより前にいるという立ち位置の優位性
  • 頻繁に現場に通っていることによる優位性
  • メンバーとの信頼関係に基づく優位性
  • メンバーと直接つながることによる優位性
  • 最前列管理自体の行為による優位性

推しに強い思いがある

最近増えているのが、アイドルを一人の女性として好きになってしまう「ガチ恋」ファンです。こうしたファンは、他のファンに邪魔されずに推しを見たいという理由で最前列管理を行います。

柵を利用してマサイを楽しみたい

柵を使ったジャンプ(マサイ)を楽しむために最前列管理をするファンもいます。

仲間との絆を深めたい

最前列管理は現場への参加率が高く、一緒に活動する仲間との絆が深まります。
その仲間たちと一緒に最前列で楽しむことが目的の一つです。

 最前列管理の歴史

最前列管理の歴史にはいくつかの説があります。以下にその概要を紹介します。

1900年代 最前列管理の始まり

この時期は、チケットを買い占め不正転売をするダフ屋が早番のチケットを管理し、イベントの最前列も彼らによって管理されていました。

2000年代初頭 財力による管理時代

ダフ屋行為の問題やその売上が暴力団の資金源となる懸念から、法整備が進み、財力のあるファンが代わりに最前列を管理するようになりました。
これには、転売ヤーなどの組織的な背景もありました。

現在 組織的な管理

現在は、個々の最前列管理が組織的に連携し、協力することで最前列を管理しています。コロナ禍以降、若い最前列管理が減り、中高年のファンが中心となっています。

最前列管理内の役割分担

現在の最前列管理は、以下のように役割が分担されています。

  • 入場役:イベントの開場に行き、管理枠を確保する
  • チケ発役:高速BOTを用いて早番チケットを確保する
  • 連絡役:出演グループの最前列管理と連絡を取り、調整を行う
  • 張り役:他のグループがいない時に場所取りを行う

他にも「揉め子役」や「壁子役」などの役割があります。

「1グループ1最前列管理」の原則

最前列管理は通常、1グループあたり1つしか存在しません。
対バンイベントなどでは、各出演グループの最前列管理が連携して管理枠を確認し、バミ表を用いて計画的に最前列を管理します。

例外 事務所内掛け持ち最前列管理

同じ事務所に所属する複数のグループがイベントに出演する場合、その事務所内のグループをまとめて管理する最前列管理が存在します。

最前列管理の階層構造

最前列管理には厳格な縦社会があり、明確な階層構造が存在すると言います。
絶対に怒らせてはいけない権力者がいて、その権力者に目を付けられると、最前列管理どころかオタク活動自体ができなくなることもあると言われています。

最前列管理の歴史で述べたように、その起源は暴力団などと繋がっている可能性のある組織にあります。
そのため、今でもそうした背景を持つ最前列管理者が存在し、彼らは「権力者」として他のメンバーから恐れられ、同時に尊敬されています。
自分よりも上位の人物がいる場合、そのグループで最前列に立つことが許されないこともあるようです。

最前列管理の階層構造は大まかに以下の通りです。

  1. 1900年代やアイドルグループの初期から最前列管理を行っている絶対的権力者
  2. 絶対的権力者の直属である人物
  3. 絶対的権力者とは直接関係はないが、その下っ端と繋がっている人物
  4. 上位者と直接の関係はないが、間接的に連絡が取れる人物
  5. 事務所全体の最前列管理を統括している人物
  6. 各グループの最前列管理を統括している人物
  7. その他の一般的な最前列管理者

対バンイベントなどでは、主要なメンバー以外のグループが出演する際、通常は張り行為で管理枠をキープします。
階層が高い人物ほど張り役をする必要がなく、下位のメンバーが彼らのために場所を確保します。
もし失敗した場合、厳しいペナルティが課されることもあります。

規模が大きいグループほど、階層が高い人物が最前列管理をしているケースが多く、逆に小規模な地下グループでは階層が低い人物が管理を行っていることが多いです。

最前列管理に関わらない方が良いと言われる理由の一つは、このような階層構造の裏にある暗い部分に起因します。

最前列管理に対する意見

最前列管理については古くから賛否両論があり、様々な意見が交わされています。
その一部をご紹介します。

以下に、最前列管理に対する賛成派と反対派の主張を見やすく表にまとめました。

項目賛成派の主張反対派の主張
頻繁な現場参加最前列管理のメンバーはほぼすべてのライブやイベントに参加し、グループやメンバーの動員に大きく貢献している。なし
物販での貢献物販で多額のお金を使い、チェキ撮影枚数などでも他のファンを上回る貢献をしている。なし
不正行為・犯罪行為なしBOTを使ったチケット取得や整理番号の改ざんなどの不正行為を行っていることがある。
視界の妨げなし最前列での高いジャンプ(マサイ)が後ろの人の視界を遮る。
新規ファンへの影響なし最前列が常に同じメンバーで新規ファンが最前列で見られない。
ライブ中の行動なしお目当て以外のグループのライブ中にスマホをいじったり、雑談をすることがある。

この表は、最前列管理に対する賛成派と反対派の主張を簡潔にまとめたものです。

最前列管理になる方法

ここまで最前列管理について様々な情報を紹介してきました。それでは、最前列管理になるにはどうすればいいのでしょうか?

現場に頻繁に通い、話しかけて仲良くなる

最前列管理になるための方法の一つは、ほぼすべてのライブやイベントに参加し、最前列管理のメンバーに話しかけて仲良くなることです。
そうすることで、まずは余った早番チケットをもらえるようになります。
その後も現場に通い続けて交友関係を深めます。
既に同じメンバーを推している人がいる場合は難しいかもしれませんが、いない場合は最前列管理に誘われる可能性があります。

すべてのイベントで早番を確保し、謙虚に交渉する

知り合いにBOTを使っている人がいれば、その人に頼んで早番チケットを取ってもらいましょう。
もし知り合いにBOT使用者がいない場合は、チケット取得代行業者を利用して早番を確保します。

重要なのは、最前列管理よりも早番を取った場合でも、事前に連絡を取ったり現場で話しかけて謙虚に交渉することです。
しばらくの間、すべてのイベントで早番を持ち続けると、最前列管理に誘われる可能性があります。

まとめ 最前列管理のメリットとデメリット、そして今後

この記事では、アイドル現場における最前列管理について多角的に解説してきました。
最後に、最前列管理のメリットとデメリットをそれぞれの視点から考察し、今後の最前列管理について言及します。

最前列管理のメリット

視点メリット
最前列管理者最前列で他のファンの頭に邪魔されずにライブが見られる
優越感に浸れる
柵を使ってジャンプ(マサイ)ができる
全ての現場に一緒に通える仲間ができる
チケット取得を忘れても最前列で見られる
他のファン自分が行けない現場でも最前列管理がグループやメンバーを支えてくれる
最前列管理が余らせた早番チケットを安く手に入れられる可能性がある
生誕祭で最前列の枠を用意してくれるかもしれない
招待枠として無料でライブに呼んでくれるかもしれない
メンバー自分のために必ず来てくれるファンがいる
物販でお金を使ってくれる
楽しそうにライブを見てくれる
運営動員が重要な時に大量の招待で動員を確保してくれる
普段から現場に足を運んでくれる
物販でお金を使ってくれる

最前列管理のデメリット

視点デメリット
最前列管理者不正行為や犯罪行為により出禁になったり、社会的制裁を受ける可能性がある
掲示板などで晒され、アンチされる可能性がある
お金と時間の無駄
他のファン最前列管理がいないと、自分がいない現場で動員ゼロになる可能性がある
最前列管理から余りの早番チケットをもらえない
メンバー最前列管理が他のファンを排除する可能性がある
犯罪者や危険人物が自分の担当最前列管理である可能性がある
運営チケットが不正転売される可能性がある
最前列の柵の破壊行為などにより、グループのイベント参加に悪影響を与える可能性がある

最前列管理の今後

最前列管理も時代と共に変化しています。かつては反社会的な組織と近しい存在でしたが、現在では情熱を持って現場に通い続ける人々の集団となりつつあります。
しかし、過去の悪事による風評被害は根強く残っており、SNS上では様々な偏見や批判が存在します。

他のファンは、昔の悪い印象にとらわれず、最前列管理と接してみると良いでしょう。
意外にも話が通じる人が多いかもしれません。
また、最前列管理も過去の過ちを繰り返さないよう、他のファンと共存するための配慮を忘れてはいけません。

残念ながら、一部には依然として時代遅れの「極悪最前列管理」が存在します。
そうした人々は、自分の行動がメンバーやグループ、さらにはアイドル業界全体に悪影響を与えていることを自覚し、行動を改めるべきです。
現代はSNSの発達により、悪事や不道徳な行動がすぐに拡散され批判される時代です。したがって、今後、悪質な最前列管理はより一層淘汰されていくでしょう。

最前列管理自体はアイドル業界から消えることはないでしょう。
例え現在の最前列管理がいなくなっても、次の世代がその役割を引き継ぐだけです。
これからも時代と共に変化する最前列管理の姿に注目していきましょう。