カーキ色とは、黄みがかった緑色や茶系のくすんだ中間色を指します。
英語の「Khaki(カーキ)」はヒンディー語で「土埃」を意味する言葉が語源であり、
その名のとおり、自然界に存在する土や草木のような色合いを表しています。
ファッション業界ではミリタリーファッションの定番色として知られており、
落ち着いた印象と汎用性の高さから、インテリアやアート、Webデザインでも重宝されています。
日本語でのカーキ色の認識は「くすんだ緑〜茶系」に分類されますが、
海外では「ベージュ系」のことをカーキと呼ぶこともあり、国や文脈によってその定義が異なる色でもあります。
カーキ色の歴史:軍用からファッションへ進化した色
カーキ色が誕生したのは19世紀末、イギリス軍がインドに駐在していた時代です。
当時、目立つ白い軍服を自然に溶け込ませるため、兵士たちは現地の泥や植物を使って服を染めました。
こうして生まれた「Khaki」は、戦場での視認性を下げるための実用的な迷彩色として評価され、
その後、世界中の軍隊に採用されることとなります。
20世紀後半になると、軍服に使われていたカーキ色が一般のファッションへと転用され、
ミリタリージャケットやカーゴパンツなどのアイテムに広く取り入れられていきます。
カーキ色の作り方:絵の具で簡単に再現する2つの方法
「カーキ色を絵の具でどうやって作るの?」という声に応えるべく、
ここでは初心者でもすぐにできるカーキ色の作り方を2パターンで解説します。
方法①:三原色から作る本格派のカーキ色レシピ

黄色をベースに、青を少し加えて黄緑色にした後、赤をほんの少し足すことで、
深みのあるカーキ色を作ることができます。
【基本の配合比(目安)】
- 黄:2
- 青:1
- 赤:0.5〜1
この配合で、オリーブ系にもベージュ寄りにも自在に調整可能です。
方法②:緑と茶色でつくる時短カーキ色
もっと簡単に作るなら、緑と茶色を1:1で混ぜるだけでもカーキ色に近づけます。
緑が多ければオリーブカーキに、茶が多ければグレージュやサンドカラー寄りになります。
水彩絵の具なら、水で薄めることで明度や透明感を自由に調整できるのも魅力です。
カーキ色の種類:意外と知らない色名バリエーション
実は「カーキ色」には複数の呼び名が存在します。以下はその一部です。
色名 | 色の特徴 |
---|---|
オリーブカーキ | 緑が強く、ミリタリー感が強い |
ライトカーキ | 明るめで、ベージュに近い色味 |
ダークカーキ | 茶色に近い、重厚で深みのある色 |
グレーカーキ | 灰色がかったカーキ、都会的な印象 |
用途や季節、シーンに応じて使い分けられており、
カーキという名前の中に広がる「色の幅」が多くのクリエイターに愛される理由でもあります。
カーキ色と心理効果:落ち着きと安心感を与える理由
色彩心理学では、カーキ色は「安心感」や「安定」、「自然とのつながり」を感じさせる色とされています。
そのため、信頼感を大切にしたいユニフォームや医療現場でも好まれます。
また、派手さがない分、他の色を引き立てる「引き算の色」としても重宝され、
モダンな空間や大人っぽいコーディネートにもぴったりです。
カーキ色と相性の良い色:プロが使う配色パターン
カーキ色は中間色なので、さまざまな色と調和しやすいのが特徴です。
代表的な好相性カラー
- 白・アイボリー:ナチュラルで清潔感のある組み合わせ
- マスタード・ボルドー:秋冬におすすめの温かみのある配色
- 黒・ネイビー:クールでモードな印象に
- サックスブルー・くすみピンク:優しい色とのコントラストで柔らかさを演出
配色に迷ったときは、明度や彩度の差を活かすことがポイントです。
和色の中のカーキ:日本の伝統色にも似た色がある

日本の伝統的な色の中にも、カーキに通じる色があります。
たとえば、「利休色(りきゅういろ)」は茶と緑が混ざったような落ち着いた色合い。
「山鳩色(やまばといろ)」は灰がかった渋めの茶色で、カーキ系の筆頭とも言えます。
これらの色は、茶道や着物など日本の文化とも深く結びついており、
カーキ色がもつ自然との調和という性格が、和の美意識と通じていることがわかります。
カーキ色の活用例:ファッション・インテリア・アートまで万能

カーキ色はその汎用性の高さから、さまざまな分野で活用されています。
- ファッション:ミリタリーアウター、ワークパンツ、ナチュラルコーデなどで定番
- インテリア:木製家具や観葉植物と好相性。北欧・和モダンどちらにも馴染む
- アート・イラスト:自然風景や影の色に最適。背景に深みを加える中間色として重宝
まとめ:カーキ色は、知れば知るほど使いたくなる色
カーキ色とは、ただの「緑と茶の中間」ではありません。
そのルーツは土にあり、成り立ちは文化と戦争の歴史に根ざし、
そして現代では、ファッション・アート・デザインに欠かせない存在として進化しています。
混ぜ方ひとつで印象が変わり、見る人によって感じ方も違う。
まさに“生きている色”ともいえる、深くて自由な色、それがカーキです。
あなたの暮らしにも、自分だけのカーキ色を取り入れてみませんか?