人物画を描くときに欠かせないのが「肌色」です。
しかし、多くの市販絵の具セットには「肌色」という名前の絵の具が含まれていないことがあります。
特に「12色の絵の具セット」は、小学生から大人まで幅広く使われていますが、その中に肌色が入っていないと困ってしまう方も多いはず。
この記事では、「絵の具セットに肌色がないときの作り方」をテーマに、初心者から経験者まで役立つ混色の方法を徹底解説します。
さらに、近年では「肌色」という言葉自体の使われ方が変わってきています。
この記事ではその背景にも触れながら、多様な肌の色を表現するアートの考え方まで、しっかりと解説します。
色を混ぜることに不安がある方でも大丈夫。
このガイドを読み終えた頃には、あなたも自分だけの肌色を作れるようになるでしょう。
🧠「肌色」という言葉が変わった理由とは?

かつては「肌色」といえば明るいベージュ系の色を指していました。
しかし、現在では「肌色」という言葉は使われなくなりつつあります。
その背景には、人種や文化の多様性への配慮があります。
1つの色で「肌」を表すのは適切ではない、という価値観が教育現場や商品パッケージにも広まりました。
今では、以下のようにより具体的な名称で販売されているのが一般的です。
旧名称 | 新名称の例 |
---|---|
肌色 | ピーチ、うすだいだい、ベージュなど |
これは単なる言葉の置き換えではなく、すべての人の肌色を尊重するための進化だと言えるでしょう。
🎨【絵の具編】12色セットで肌色を作る基本テクニック
12色の基本絵の具セットだけでも、リアルな肌色は十分に作ることが可能です。
✅基本の肌色の作り方(明るめ)
- 白を多めに出す(ベースカラー)
- 赤をほんの少し足す(ほんのりピンクに)
- 黄色を加えてオレンジ寄りに
- 色が鮮やかすぎるときは黒を少量入れて落ち着かせる
✅日焼け肌の作り方
- オレンジ+茶色+赤を中心に混ぜる
- 黄色で明るさを出し、青や緑を加えて影を表現
🔍混色のコツ
色 | 効果 |
---|---|
白 | 明るさの調整 |
赤 | 血色感・あたたかさを演出 |
黄 | 健康的なトーンに |
青/緑 | 影や透明感の表現に最適 |
✏️【色鉛筆編】肌色をやわらかく表現する方法
色鉛筆は重ね塗りで微妙な色合いを表現できます。
特に人物画では、繊細な血色や影の演出に向いています。
✅基本の重ね方(明るめ肌)
- オレンジ色を全体に薄く塗る
- ピンクで頬や鼻先に血色感を
- 白でぼかして自然な明るさを
- 薄い茶色で輪郭・影を足す
✅濃い肌トーンの作り方
- 茶色→ピンク→黄色→白の順に重ねる
- グレーや青で影をつけると立体的に
💡影の描き方|肌色に立体感を出すテクニック
リアルな肌を描くには「影」の表現が欠かせません。
🔍主な影の色と用途
部位 | 使う色 | ポイント |
---|---|---|
鼻の下 | グレー+肌色 | 自然な立体感を出す |
顔の輪郭 | 青+茶 | しっかりと深みを加える |
首元や髪の下 | 緑+茶+グレー | 透明感と落ち着いた印象を演出 |
重ね塗りとぼかしを組み合わせることで、絵の完成度が一気に高まります。
💧【水彩・パステル編】透明感のある肌の描き方

水彩やパステルは、やわらかく透明感のある肌の表現にぴったりです。
✅水彩のポイント
- 薄く何度も塗り重ねる(1回で濃く塗らない)
- 白い部分を残すと光が当たっているように見える
- 赤・茶を少し加えて血色を再現する
✅パステルのポイント
- ピンクやオレンジをベースにふんわり塗る
- 白でハイライトをつけて優しい印象に
- 指やティッシュでぼかすと自然に仕上がる
🧪色が濁ってしまうときの対処法
肌色を作るときに「濁る」「灰色っぽくなる」という悩みを持つ人も多いです。
✅原因と対処法
トラブル内容 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
色が濁る | 補色(反対色)を混ぜすぎた | 少量ずつ追加し、混ぜすぎに注意 |
色が暗すぎる | 黒を入れすぎた | 白で薄める、明るい色で調整 |
肌色にならない | 混ぜる順番を間違えた | 白+赤+黄の順に混ぜるのが基本 |
🌍【表現の幅を広げよう】多様な肌色を描くためのカラーレシピ集
以下の表は、さまざまな肌色の基本レシピです。
肌のタイプ | 使用色構成 | 特徴 |
---|---|---|
明るい肌 | 白+赤+黄色 | 日本人女性や子供の肌に多い |
小麦色(日焼け肌) | オレンジ+茶+黄色 | 健康的で活発な印象 |
褐色〜黒に近い肌 | 茶+赤+黒+黄色 | 深みのある力強い印象 |
🙋よくある質問(FAQ)
Q. 肌色を作る順番は?
A. 基本は「白→赤→黄→調整用の茶・黒・青」の順です。
Q. 色鉛筆でリアルに描けないのはなぜ?
A. 色の重ね方と力加減のバランスがポイント。薄く重ねていくことが大事です。
Q. 影に使う色はグレーだけでいい?
A. 青や緑を混ぜることで、透明感とリアリティが出ます。
🧩まとめ|肌色を「自由に表現する」ために

肌色は、決して1本の絵の具だけで完結する色ではありません。
今は、固定された「肌色」ではなく、一人ひとりの個性や多様性を反映した色表現が求められています。
この記事で紹介した絵の具や色鉛筆、水彩、パステルによる混色テクニックを使えば、どんな肌色もあなた自身の感性で自由に作ることができます。
肌色を自分で作れるようになると、作品に命が宿り、描くことがもっと楽しくなります。
最初は難しく感じても、何度も試していくうちに「自分の色」が見つかります。
ぜひあなたも、自分だけの肌色を見つける旅に出かけてみてください。